そして50代になったら自動車を数台持ちながら、白髪交じりでHarley-Davidsonを颯爽と乗りこなす。そんなオヤジ像を夢見ていた。 それから20年。奇しくも図らずして思い描いていた通りのカーラーライフを送り、現在Alfa Romeo 164Q4というフルタイム4WDを搭載したセダンと、世界限定250台生産のAlfa Romeo R.Z.のオープンカーを30代で手に入れることができた。 現在40代に突入し。予定より10歳早くなったが、Harley-Davidsonに乗るのもいいかな、と思うようになった。そして、教習所に中型免許から通い、2004年7月10日、念願のFatBoyを手に入れた。 Harley-Davidsonに乗ろうと思ったきっかけは何だったろう? 正直つい昨年までオートバイには全く興味が無く、原付すら乗ったことも無かった。バイクの種類や、それこそ車種名など全く分からないありさまで、最近はやりのビッグスクーターの下品な走り方に苛つくだけだった。Harley-Davidsonにしても、ローライダーくらいしか名前も分からず、国産のコピーモデルと見分けもつかないほどのバイク音痴だった。 ましてやこの年になって教習所に通うことに対する抵抗感もあった。20そこそこの若い連中に混じって、何度も落ちたらという恐怖感もあった。なにせ原付も乗ったことがないのだから・・・ 2003年はHarley-Davidson100周年の年だった。TV や雑誌でも様々な特集が組まれていた。 そのなかで高島礼子と高知東生がHarley-Davidsonで旅する番組があった。高島礼子?Harley-Davidson? 高島礼子もHarley-Davidsonに乗るんだ・・・。へえ〜って思った。 Harley-Davidson100周年に合わせてアメリカを横断する番組もあった。出演者は吉田真由子。知ってる?開運!なんでも鑑定団のアシスタントの女性といった方が通じるかも。その彼女がビッグ・ハーレーにまたがって平気でアメリカ横断しちゃう。へえ〜って思った。 か細い女性でも平気で乗りこなしてるのか・・。芸能人というだけではなく、画面に映っている彼女たちはとても格好よかった。女性に格好いいと思うことはあまり無いが、様になっていて本当に格好良かった。 そして、縁あって某タイヤメーカーのバイク用2004年総合カタログをデザインする仕事を請け負った。毎日バイクのポジとにらめっこしているうちに、バイクもいいなって思うようになった。で、乗るならやはりHarley-Davidson。他のバイクに興味は無かった。 Alfa Romeoに乗っていると、DUCATI ?と必ず訊かれる。確かに同じイタリア。彫刻的なデザインはモダンイタリアの哲学が感じられ、美しいバイクだと思う。自分のようなイタリアかぶれだったら間違いなくDUCATIを選ぶだろう。でも、DUCATIは欲しいと思わなかった。 なぜだろう? Harley-Davidsonは特別な存在だった。しびれるほど格好いいわけでもないし、洗練されたデザインでもない。無骨で、まさしくアメリカンな大雑把なその姿はデザインコンシャスとはとても言えない。でも、Harley-Davidsonなのである。イージーライダーに影響されたわけでもないし、ワイルドに生きたいとも思っていない。 やはりROCKの影響が大きいと思う。ハードロックバンドの傍らにはいつもHarley-Davidsonが鎮座していた。ROCKへの憧れが、いつしか同様にHarley-Davidsonへの憧れへと同化したのかもしれない。 レーサーレプリカはやはりレーサーレプリカだ。自分が公道でレーサーを気取るつもりは毛頭無かったし、コーナーを攻めるなどと言った馬鹿げたことを今更するつもりもない。刺すように戦闘的なスポーツバイクも確かに美しいが、サーキットを走るわけでもないので、興味がわかなかった。 乗りたいと思ったときが、乗り頃。理屈を並べて自分自身に時間稼ぎをするより、まずは教習所に通ってバイクがどんなものか知ってみようと思った。それで、気に入ればHarley-Davidsonを買えばいいし、乗りこなせないと思ったらやめればいい。 そして、2004年4月。まずは中型免許からチャレンジしてみることにした。 (つづく) |