なんとなく1933年製50mmと1940年製35mmの二つのエルマーのレンズを持って京王線の調布まで行って来た。
調布は10代の頃に付き合っていた彼女が住んでいた町。もう四半世紀以上も前の話。駅前の再開発で立ち退いてどこかに越したという話までは風の便りで聞いたが、今はどうしているのだろう・・・。ふと、そんな事を思い出しながら、駅を降りる。
たぶん、駅を降りるのはその頃以来。ずいぶんと変わってしまって、面影を探すも記憶の糸が途切れてしまう・・・。記憶力は良い方だと自分では思っていたが、すこし想い出が古過ぎたようだ。
調布に来た理由のひとつがこれ。天神通り商店街に入るとすぐに鬼太郎が笑って迎えてくれる。
作者の水木しげる氏が調布在住で名誉市民になった関係で、この商店街に鬼太郎のモニュメントが1996年に置かれたらしい。
ねずみ男もいる。
ぬり壁もいる。ここには元々は子泣き爺がいたらしいが、腕を折られる事件があって、今のぬり壁になったそうだ。最初の鬼太郎も盗難にあい2代目。ひどい事をするヤツがいるものだ。あと一反もめんに乗る猫娘もいたが、顔がちょい微妙だったので掲載は見送る。
商店街を真っすぐ行くと『布多天神社』がある。
ここの狛犬は1796年に建てられた由緒あるものらしい。どこか愁いを帯びたような表情が印象的な狛犬だった。
樹齢数百年は優にありそうな巨木もあって、その歴史が伺える。
最後はお稲荷さんを拝んで。
かなり遅くなったが16時くらいに昼飯とする。昔の記憶に残っていた中華屋に入る。中に入るとタイムスリップしたような昭和がそこにあった。懐かしい模様の『湯呑み』が目に飛び込んでくる。ビールを頼むと当然ながら瓶ビールが出てくる。今どきの店のような缶ビールじゃ気分が出ない。キンキンに冷えたビールを胃袋に流し込むと、全身に電気が走るような快感。昼下がりのビールは腰が抜けるほど旨い。
もやしそばを頼んでみる。あっさりした中華スープにあんかけな野菜がたっぷり乗っている。ナルトも千切りで入っている。麺はかなり細麺でちょっと伸びた感じだったが、子供の頃によく食べた中華屋のラーメンといった感じで実に旨かった。なによりナルトが入ってるだけで、もうすっかり昭和へタイムスリップである。
もしかしてと思い店主に昔の彼女の家の事を訊ねてみたが、どこに越してしまったか分からないとのこと。あまりに古い話なので店主も懐かしがっていたが、情報はなにもないらしい。
でも、なにも情報が得られなくて逆によかったと思う。もし病気になってるとか死んだとか聞いたら心穏やかではないし、きっとどこかで元気に暮らしているのだろう。
古いレンズを持って昔の記憶の道を辿るのは楽しい。ゲゲゲの鬼太郎にも会えたし、ちょっとだけセンチな昔の想い出にも浸れたし、久々の調布は楽しかった。また昭和なラーメンを食べに行きたいな。
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