昨日は天気もよかったので美術館巡り。で、ちょっと遠回りして街並散策。
先ず行ったのは白金。懐かしい・・・というのも独立直前に勤めていたのが白金台4丁目。目黒から目黒通りを白金に向かってテクテク歩く・・・・。懐かしいぃ〜と言いたいところだけど、昔の面影はほとんど無く、色々なところが新しくなってしまって全然記憶が蘇らない。まぁ、18年も前の話だからね。
まだ地下鉄も無く、シロガネーゼなんて呼び名も無かったし、プラチナ通りなんて洒落た呼び名も無かった時代。ちなみに白金って「しろかね」と読むのだけど、なんでシロガネーゼって濁るんだろうね。
庭園美術館が改装工事中だったので、東京大学医科学研究所を覗いてみる。昔と変わっていない。ここはさすがに懐かしいと感じた。入ってすぐの建物はブロックされていた。取り壊されるのかな?歴史的建造物だからいつまでも残してもらいたいなぁ。
当時、よくクルマを病院の駐車場に(勝手に)止めさせてもらって、警備員さんに注意されたのが懐かしい。出勤の土曜日はかならずクルマで(無断で)通ってたから。今考えるとかなり不良会社員だった。
18年前と変わらずこの研究所はちょっと不気味。いくらなんでももう少し手入れすればいいだろう、というような所満載で、帝国時代はここで人体実験が行なわれていたとか、毒ガスが開発されていたとか・・・基本ガセだろうけど、所内に入った時の独特な雰囲気は風評無くしても無言の威圧感を感じる。さすがに夜は怖い。
でも、大好きな建物なのでいつまでも残してもらいたいなぁ。
白金からテクテク恵比寿まで歩き、向かった先はここ『東京都写真美術館』
本当は上野の西洋美術館で開催されている『ユベール・ロベール-時間の庭』展に行きたかったのだけど、春休みだし祝日だし天気もいいし絶対混んでると思い4月に入ってから平日に行くことにして、きっと空いているであろう写真美術館にした。
最初に『幻のモダニスト 写真家堀野正雄の世界』を観る。案の定空いてる。よしよし。
日本の近代写真の旗手として知られる堀野正雄。数百点の展示作品を見てその圧倒的なメッセージ性に感銘する。
堀野作品は芸術写真ではなくジャーナリズムフォトだ。1920年代から1930年代後半までの激動の日本を伝え、朝鮮・満州といったもうひとつの日本を絵に刻み込んだ。プロパガンダに利用されたとして戦後の評価は低かったらしいが、今見ても構図・ライティングにおいて唸るような作品も多く、またエディトリアルデザインとの融合という面でもかなり刺激をもらえた。
写真としての純粋な力、デザインとの融合、そして一番大事なメッセージ性。デジタルの利便さにかまけ怠惰になっていた感性に喝を受ける。最近ちょっと写真の行き詰まりを感じていたので、ナイフのような鋭い切り口の堀野作品に背中を刺されたような感じがした。
そしてもうひとつの展示会『フェリーチェ・ベアトの東洋』も観る。こちらはさらに古く1855年〜1905年頃まで世界を点在したフェリーチェの作品。
1855年、どのような機材でどのようなフィルムを使っていたのかも想像できないが、絵画からインスパイヤされたであろう構図や遠近法。何ミリくらいのレンズを使っていたのかもわからないが、江戸の街並やアジアの国々の風景が印刷物として残っていることに驚く。
日本はまだチョンマゲの時代に、単身日本にやってきたフェリーチェは写真機を使って、驚くべきことに日本の街並や人々の暮らしを写した写真集を海外からの観光客向けに売っていたそうだ。なんとも彼の国とのレベルの差を見せつけられる思い。
しかし、そんな日本が100年後には世界のカメラ市場を独占してるとはフェリーチェも夢にも思わなかっただろう。
館を出ると壁面には巨大なロベール・ドアノーの『パリ市庁舎前のキス』が。仲良く歩いてるカップルがいたのでちょっと失礼して一枚。この絵の前でキスしろ、と念じたが失敗に終わった。真っ昼間の日本じゃ無理か。
3月24日からは『生誕100年記念写真展 ロベール・ドアノー』も開催されるので、こちらもまた観に行かなくては。
今回、両作品を観て痛感したこと。「色やデジタル処理に甘えてないか」「構図をちゃんと考えているか」「メッセージは込められているか」デジタル化になって楽に写真が撮れるようになった。でもそれはインスタント麺を食べるのと同じで、結局味気なくなにも感動しない。スナックにはなっても決して主食にはなり得ない。ちゃんと料理をした作品を撮れるように気を引き締めようと思う。
ちょっとおまけ。いつも気になってい恵比寿のこの階段。山手線の外回りに乗っているとホーム越しに階段だけ見えるので気が付いてる人も多いと思うけど、歩いてきたついでに外側から見てみた。
やっぱ不思議〜。全部の階段が4階?の屋上に繋がってる。わざわざ4連ちゃんにする理由は?
避難時に混雑しないように?でも屋上から避難するとは思えないし、避難階段ならあちこちに分散した方が効率的だろうし・・・。
鉄道オタクの諸君!知っていたら教えて!
2 Comments
>mu さん
なるほど〜。確かに似てる構図ですね。
しかしなんで4連チャンなんだろう??
由来は分かりませんが、ポンピドー・センターを想起します。
>恵比寿の階段