練馬区立美術館の帰り、中村橋から練馬まで歩いてみた。特にこれといった面白い風景や街並も無くどこにでもある住宅街だった。
どこかのマンションのゴミ捨て場にラジカセが捨てられていた。AIWAのダブルカセット。懐かしいなぁ。
これの最初期型を中学の入学祝いで買ってもらった事を思い出した。ちょうど今頃だったと思う。春休みに両親と一緒に秋葉原まで行って。英語のヒヤリングのためという、もっともらしいおねだりをしたのだけど、本当の目的は音楽を聴くためだった。
『中二病』ってあるけど、まさに小学校卒業の頃がそうだった。
小学校5年、6年と放送部だった。校内放送や昼休みのBGMを掛けるのが仕事だった。5年生の時に6年生の先輩が自宅から持ってくるレコードがとても新鮮だった。聴いたことのない洋楽やサントラ。またその音楽について熱く語る6年生が眩しかった。
6年になった自分は、今度は後輩たちに指導する立場だ。知ったかぶって昼休みにエクソシストのテーマを流したら顧問の先生に怒られた事もあった。今にして思えば怒られるようなレコードを放送室に置いとくなよって感じだけど。
中学に入って買ってもらったダブルカセットはまさに文明の利器だった。ダビングができるということは中学のガキンチョにとって財布に優しく貪るように音楽にのめり込んでいった。
捨てられているダブルカセットを見て、ちょっと悲しくなった。立ち上がっているアンテナが、なぜだかSOSの信号を発しているようにも見えた。
技術革新で次々に新しいメディアに移行するのは仕方がないけど、なんだか思い出までも捨てられてるような切ない気になった。
カセットテープに自分だけの選曲をして、インレタでインデックスを一生懸命作っていた頃が鮮明に蘇った。
さようならダブルカセット。おもちゃの国で粋な音楽を鳴らしておくれ。
[ Leica M9 SUMMICRON-M (2002) 1:2 / 50mm ]
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