これは我々デザイナーが片時も離せないカラーチャート帳。印刷で再現できる色の組み合わせのサンプル帳だ(4752色)。日本の印刷は4色印刷といって、シアン(青)、マゼンタ(赤)、イエロー(黄)、ブラックの4色の組み合わせでフルカラーを再現する。簡単にいえば4色の絵の具で、いかに色を作り上げて行くかが腕の見せ所なわけだ。
デジタル化が進みモニターで簡単に色の確認ができるようになったが、昔は頭の中で色の配分を考え完成図を想像しながら作業を進めなければならなかった。頭の中の白いキャンパスに彩色して完成像を描き出す。正直、これは難しい作業。何度か失敗しながらコツを覚えて行く。
色は絶対音感と近いものがあると思う。色をある程度使いこなせるようになるには大人になってからの訓練も必要だが、やはり幼年期にどれだけ色に触れさせていたかが大きい。
音の場合はまず単音を聞き分けるところからスタートすると思う。「ドレミファ・・・」「CDEF・・・」。それが済んだら複合音へ。
しかし、色の場合は単色から複合色を考え出すのは幼年期には不可能。だから色感覚を養うためには、小さい時こそ多くの色数を使わせた方がいいと考える。一般的には保育園>幼稚園>小学校と高学年になるにつれ、色鉛筆や絵の具の色数を増やしてあげる親が多いと思うが、これは全く逆で、小さい時こと色々な色を吸収(理解)させ、大きくなるにつれ色数を減らした方が良いのではないだろうか。
例えは「緑色」の絵を描くとき「緑色のクレヨン」があれば当然緑色で描くだろう。しかし、もし緑色が無かったら、「黄色と青色」を混ぜなくてはならなくなる。このとき「緑色の記憶」が残っていれば頭にある緑色に近づけるように混合するだろう。しかし、緑色を使った事が無い子にいきなり緑色といってもどのように混ぜたら良いか解らないはずだ。この記憶に残っているというのが大切なのではないだろうか。
年齢が上がれば、色数が少なくても混合のポイントが解ってくるので対応できるようになる。小学校の美術なんで絵の具は8色もあれば十分だ。しかし、色を使うことになれてない者はこの8色でも行き詰まってしまう。意外と大人でもこの混合色を解らない人って多い。紫色は?橙色は?紺色は?何色との組み合わせ?
色というのは実はかなり難しい。単色で考えるなら問題はさほど無いが、周りの色とのバランスも重要になってくる。配色のバランスでは目の錯覚で違う色に見えてしまうこともある。簡単な例が洋服の上下の色であったり、女性の化粧であったり。口紅は各メーカー100〜200色近く販売してる。赤系の色だけでもこの数である。これを自分の顔というキャンパスに塗るのだから並大抵の事ではない。女性の場合は、幼いうちから化粧に興味を示すから色の感性もある程度向上するからまだいい。
しかし、男の場合は美術部でも入らない限り、色とは無縁の青春時代を送る事になる。そして、社会人になった時「ネクタイを選べない症候群」に陥る。場合によっては結婚してからもネクタイは奥任せで、自分では絶対に選ばないお父さん族も多い。センス無いと指摘されると「うちの嫁さんセンス無いから・・」と人のせいにして自分の色恐怖症を隠そうとする。
話が脱線したけど、色が使いこなせるからといって、将来役に立つかどうかは解らない。だけど、色をスマートに使いこなせる大人の方が男でも女でも素敵じゃない。
NOBU式:持たせるクレヨン色数 『256色 ÷ 年齢 = クレヨンの色数』*科学的根拠なし
4 Comments
論点がずれてるな、と思いつつも投稿してしまいました。
失礼しました。(笑)
色覚異常ですか・・・(20人に一人の割合を異常と呼ぶのには疑問がありますが)。確かにそれもあるかもしれませんね。自分も一度ちゃんとテストしてもらおうかな。
でも、この記事の言いたかったのは色の話ではなく、子供の色教育の話ですから(笑)
印刷の4原色はCMYKと言われていますがデジカメのセンサーの
CCDや液晶モニターは3原色のRGBですね。実は人間の眼も
色を3原色から感じ取るように網膜内に3種類の視細胞、錐体があります。
錐体は赤錐体、緑錐体、青錐体とデジカメのCCDとまったく同じ役割分担に
なっています。(明暗を感じる細胞、杆体も別にあります。)
ところが、この赤錐体に異常があるのが色弱と呼ばれる色覚異常で
男性の20人に一人の割合で存在します。女性は500人に一人。
ですから、男で色のセンスが悪い人って実は色弱なのでは、と思います。
これは差別や馬鹿にしている訳ではなく、事実であり、この高い率で
色弱の方が存在する、という事は社会も何らかの対応策が必要なのでは
と思いますね。
昔、私も大学で色彩学を受講したことがあります。実技でもマンセル色環やら
オストワルドシステムだの勉強してポスターカラーで複製や応用作品を
作成しましたね。烏口を研いだりもしてました。懐かしい話です。
今の美大生なんてPCだから、あんな技術なんか持ってないでしょうね。
少し寂しいですが、それとも基礎科目はまだアナログなのかな?
私は、工業デザイン系に進路を定めたので、その後、グラフィック系は、
ほとんど単位は取りませんでした。図面や造型、アイデアスケッチの授業が
ほとんどでした。そういえばグラフィックやテキスタイルなど色彩を
扱う科目は女子が多かったですね。私が在学中の時代は工業デザインには
ほとんんど女子はいませんでした。男女差とか適性ってあるんでしょうね。
でも現在は工業デザインや生活デザインなど立体デザイン系を専攻する
女子も増えてきたそうです。う〜ん、できれば今入学したかった。(笑)