私のこのギター、何色に見えますか?
唐突な質問だけど「黄色」という人もいれば「黄土色」という人もいるだろう。「茶色」という人もいるかもしれない。メイプルの杢目というのは奥が深く、光の屈折で微妙に色合いを変化させる。カメラで撮っていてもちょっとした角度でかなり雰囲気が変わってくる。
なぜ、このような話をしたかというと、ちょっと気になるBlog記事があったので、デザイナーという立場から思う事を書いてみたい。
その記事とはpukipukiさんの、保育参観での話。一部引用『ちょうどお絵描きの時間で、先生が「太陽は何色かな?」と、聞いたら「オレンジ!」と返ってきたけど、先生は「オレンジだっけ?違うよね~ぇ、赤だよね!」と言っているのを聞いた。その時、別にオレンジでもいいじゃん!って思ったのを覚えている。』
この先生の発言にpukipukiさん同様、かなり驚いた。感受性が一番高い時期の子供に、「色」という一番あやふやな概念を一つに固定(強要?)させるようなことはちょっと問題だと思ったからだ。そもそも赤い太陽なんて自然界には存在しない。夕日や朝焼けが赤く見えるのはあくまで太陽の周りや雲であって、太陽そのものは白色に近い黄色でしかない。太陽の色は時間によって多彩に変化する。だから一つの色に固定する事なんか本来できない。どうしても一色にしろと言われたら「オレンジ」と言った子供の方が100歩譲っても正解だ。
保育園ってどういう教育をしているのかちょっと解らないけど、子供にとって一番大切なのは創造性と想像性だと思う。割り切れる「概念」や「観念」というのは大人になってから覚えればいいことで、脳が柔らかいうちにこれをやってはいけないと思う。
例えば色鉛筆やクレヨン。あなたにお子さんがいたら、何色のを使わせてるだろう。12色?24色? 聞くところによると園の方で何色以上は駄目とか決められてるところもあるらしい。これまた驚愕なわけで、色というのは感情表現ができる一番便利なツール。つまり言葉を上手く使えない幼年期こそ出来るだけ多くの色を使わせた方がいい。可能であれば50色や100色のセットが良い。
「絵は下手だから必要ない」という人もいるが、絵というのは模写するためにあるのではなく「自分が見た光景を、自分が思う感覚で表現する」ためのもの。だから、自分が思った色がパレットに無いとどこかで妥協しなければならなくなる。例えばミカンを描きなさいといって赤と黄色しかなかったら。そこに妥協が産まれる。どこかで自分の感性を押し殺さなくてならなくなる。そんな大げさに、と思うかもしれないが色というのはそれくらい重要な要素である事を忘れてはならない。
カラーコーディネイトの仕事は100%女性が占めている。これは女性に向いている仕事ではなく、女性にしかできない仕事だからだ。色というのは使わなければどんどん脳の中で退化していく。デザイナーや絵描きを除いて、普通の男は色を使うチャンスはどんどん減って行く。化粧品売り場にずらりとならんだ口紅の色を正確に区別できる男は少ない。
一般的に女性の方が感受性が高いと言われる。これは色の理解力による影響が大きいのではないかと思う。自分の気持ちを色に例えるのも女性の方が多い。
優しく思いやりがある人間を育てるためにも色彩というのはとても大切だと思う。そして、その大切な時期というのは小学校に入る前しかないんじゃないかと思う。
世の父親諸君、200色くらいのパステル買ってあげてもバチは当たらないと思うよ。
10 Comments
>T3さん。
そうそう自分の得意な色ってありましたよね。私はリキテックスをコネてよく作りました。(でも乾燥してすぐガビガビになってましたが・・・)
>BIGSTONEさん
たしかに肌色はもう時代遅れですね・・・。広告のコピー考えるときも気をつけよう。
多分、その先生も幼少期に固定概念的な色の使い方を教育
されてしまったのかもしれませんね。要するに負の連鎖です。
海外の絵画を見れば分かるように太陽の色は千差万別ですよね。
いや、太陽だけでなくあらゆる物がそうです。大体「肌色」なんて
概念が、もはや崩壊していますし。人種差別になりますよ。
予備校時代は平面構成書くよりフィルムケースに自分色のポスターカラー作るのに夢中な時もあったかも…仕事始めてパントン、DICと色指定してた時期が懐かしいです。今やMacでシミュレーションですものね。今や効率いい分経験値が上がると言えるのか?難しいところ…センスだけでは語れない奥が深い世界ですね?色の世界(笑)…
色の混合って習うものじゃなくて、自分で発見するもの!
自分で失敗しながらもいっぱい試してみて、
「あ、こういう配合でこの色なんだ」「この配分でこうなるんだ」
とかたくさんわかった!木にはピンクも使えるんですよ☆
でもまずは、いろんな色があるっていうことを教えるのに多色のものを渡してみる、そこから興味を持たせる、
というのは大事な過程かも!?
>pukipukiさん
さすがに保育園で美術の先生を抱えてるようなところは少ないでしょうから、仕方ないところもありますよね。音楽や育児の勉強しかしてこなかったら、そりゃスーパーマーケット優先になるでしょうね(笑)
私の通っていた幼稚園は絵だけの先生がいました。髭もじゃのいかにも画家って感じのオジサン。当時ではまれだっと思います。今の自分があるのは、その先生のおかげかもしれません。
園でまかないきれない所は家で面倒見てあげてくださいね。
>むーちゃん
そう色の混合はとても大切。これが出来ないと料理だって化粧だって将来できない(笑)。
だから女の子こそ色々な色を自由に使いこなせるように練習しておかないと。
口紅なんかグロスにマットまで出てくるから配合が大変だ。
>YASKIさん
もう保育園!? 保育園って3〜4歳からじゃなかったんだ。知らなかった。
エンピルは無理でも、色々な色のお菓子からスタートですね。
マーブルチョコって何色あったっけ??
>さおりん
はは、講師料高いです。
余裕ができたらいつかは子供たちにデザインを教えるような仕事もしたいですね。仕事というよりライフワークのような感じで。自分は音楽で絶対音感が無く悲しい思いをしているので、子供たちが色音痴で悲しい思いをしないように手助けしてあげたいですね。
園で講師募集の際は連絡ください(笑)
NOBUさん、いいこと書いてるな~♪
さすがです。。。
殆どの園がpukipukiさんのところもコメントしたとおり、今、幼稚園教育の現場では・・・絵画も、見本があったり、○○は、何色ね~とか指示が出たり☆が普通らしい。残念!☆(そうじゃなさそうな園探しで10園弱見学しまくったのが懐かしい。苦笑)
私は知ってのとおり一人っ子の暇人ママなので、気が向いたら・・・幼稚園にお迎え後にフラッと都内の美術館を転々と気分転換に連れ出したり。。。この色いいね、カワイイね、こっちの絵キレイだよー、ママが好きそうだよ?とかYと遊びに行ってます。色彩っていいですよねー。
NOBUさんみたいな講師が身近に居たらなぁ~。・・・講師料高そう!(笑)
muchanのコメントも興味深い。
そうだね・・・少ない色鉛筆も必要かもね!
テクニックを要するから小学生になってからは、それでも良さそう♪
YASKIさん、はじめまして。
乳児から・・・食べても安心・安全なクレヨンとかオススメです。
“蜜ろうクレヨン(シュトックマー)”
うちのチビにも乳幼児期は使わせてました。
残念ながら24色までですけどね、。
どうもご無沙汰しています。
来月からうちの息子も保育園です。
色んな人と接しながら育つのは大切だと思いますが、正におっしゃる通り変な固定観念を植え付けられるのは勘弁ですね。冬に見た太陽を青く書いたりしちゃうくらいでもいいと思います。200色くらいの色鉛筆を買ってやろうと思いましたが、今のところ鉛筆を手にとってもまだ食べちゃうだけなので暫く先の話しです(w
先生の話の続き。
とにかく何色でも、全然木になってなくても、色んな色を使って木を描いた子をもの凄く誉めて、
逆に茶色一色で描いた子を「本物の木を見なさい!こんな色じゃない!」
と怒っていたのを今でも思い出します。
めちゃくちゃ同感です!!
「太陽は赤」っていうのは大人が決めた色。
オレンジでもあるし、白でもある。本物は白くてまぶしいでしょう。
そもそも国によって「太陽の色」の概念も違うのに。
・・・っていうのは、かなり前から言われてることなのに、それでも今でも「赤」と色を
決め付けている大人、しかも先生がいるのは悲しいことだと思います。
子どもの感受性は、今伸ばさなければ、いつ伸ばすのか・・・??今が一番大事なときなのに。
小学校、幼稚園のときって、確かに何色、とか決まってました。
最初は「色はたくさんあった方がいいじゃん!」って思ってたんですけど、
先生が毎回「物は一色じゃない。色んな色が入ってる。だから色んな色を重ねて塗ってみなさい。近い色になるから。」
と言っていました。確かに木とか、茶色、赤、黄色、緑、白、黒・・・ってたくさん使えば使うほど、木になるんです!!
そういう指導は良かったなって思う。もう作られた色を塗るのではなく、自分で色を作る。
自然の色っていうのは、きっとそういうものなのかも。
たくさんの色鉛筆もいいけど、少ない色鉛筆も必要かな、と思います。
何だか、美術の授業のようなとても内容のあるものにして頂きありがとうございました!!
私も、長男が何を書こうが何色を使おうが気になりません。
それが彼の表現の一つならば・・・
でも、その時の先生もそうですが、母の日に書く絵なんて、まさに先生の指示がバンバン入ります。
しかも、スーパーに飾られる絵はなおさらです。
幼児教室で3歳の時に書いた母の日の私の顔。
顔の色、髪の毛の色、口の色、目の色、とにかく正解(?)そのものでした。(この言い方も変だけど・・・とりあえず、「正解」とせて下さい。)
ウチの長男は良く絵を書くタイプではないので、良くここまで正解を書けたな・・・と、思いながらどうやって書いたのか聞いたら、先生の指示があったそうです。
「はい、肌色でお顔を書こうね」的な指示が・・・。
結構、幼児教室の先生は好きで、決して子供の言った事に対して「間違い」とか「違う」という言葉がない空間をつくってくれていたと思ったのですが、ヨーカードーにか勝てないようです。
ヨーカードーに勝てないのは仕方がないかな・・・と、思い割りきりましたが。ちょっと、ガッカリしましたね。
200色の色鉛筆・・・スゴイ!
子供の頃に、友達が24色以上の色鉛筆も持っているのを見せてもらった時に「ピンク」だけでも何色もあって感動したのを覚えています。
ピンクだけではなく、水色や緑も・・・しかも、全部名前が付いてる!
とりあえず、全色試し書きをしました。
あまり、絵を書くタイプじゃなくても、それが家にあるだけでも、興味の始まりになるかもしれませんね。
長男の友達に、ポケモンの絵を上手に書く子がいます。
その子の前で、色の違うポケモンを書いたら、怒られます。
「それ違うよ!」と・・・そんな一言で長男は書くのをやめてしまいます。
「でも、こういう色のポケモンもいるかもしれないよ!」と言っても「いないよ!」と言い張る。
こうなると、長男の方をフォローするようにしています。
大変、勉強になりました!
色鉛筆200色までいかないにしても、ちょっと多めの物を用意してみたいと思います。