今回のヴェトナム旅行ではネガ8本、ポジ4本の12本を撮った。約400カット。ポラロイドは4〜5枚撮ったところで壊れ(笑)途中リタイヤ。IXY1000で242カット、動画が31カット。4日間の旅にしてはかなり撮った方だと思う。写真を撮りに行くのが目的でもあったので、目標はある程度達成できたかな。スキャンしながら見返してみると、こうすればああすればと反省しきりだけど「撮りたい」という欲求は満たされたのでよしとしよう。
前にも書いたけど、うちのBlogを写真が好きで見にくれている方も多いようだ。「そろそろ一生使えるカメラが欲しい」「本格的なカメラを一台欲しい」そんな話も良く聞く。実際にこのBlogをきっかけに写真生活を始めた方もいて、少なからず手助けになったことは嬉しい限り。
「カメラ選びのコツは?」と訊かれることも多いが、デジカメでもフィルムカメラでも、新しいカメラでも古くても、本人が気に入っていればそれでいいと思う。デジタル対アナログ論もナンセンスに思うし、フィルムでもデータでも仕上がりの色が気に入った方を使えばいいと思う。
自分も数年前からデジカメのバージョンアップにうんざりしていて、なにか一生使えるカメラはないかと思うようになっていた。解像度や性能競争に左右されない孤高の存在であり、持つことによる十分な満足が得られる完成されたプロダクト。当然色々な選択肢もあったのだが、まずオリジナリティーがあること。自分の生まれた年に作られたものである事。一生使えるメンテナンス性(完全機械式)あること。必然的にライカとなった。
実はライカに対して極端な憧れや神話も自分の中にはなかった。確かに第二次世界大戦、ベトナム戦争を駆け抜けた戦場カメラとして、そのタフさと描写性能の凄さは素人の自分にもよくわかったし、ライカさえあれば・・という淡い期待もなかったといえば嘘になる。ただ新品のべらぼうな値段は、そんな気も簡単に萎えさせるほど高価で適正に欠くものだと思っていた。
なにより一般的にイメージするライカ・オーナー像が耐えられなかった。撮りもしないのに不必要にレンズを集め、記念モデルを箱から出さずにしまいこみ、偏執狂的にモデル遍歴を暗記し・・・。人の好みだからそんな趣味も否定はしないが、自分にとってはカメラは撮るための道具であって、切らないナイフは鉄の棒と同じなのだ。
ネットで検索してもライカで撮った事例は「え?」と思う作品にあふれ、ご丁寧にレンズ比較やモデル比較でアップされてる写真など、蘊蓄と反比例してライカ神話を簡単に崩すほど魅力の無い画像が多かった。よく「ライカは空気までも映し出す」と言われるが、ライカオーナーが自慢げにアップしている作品を見る限り、空気感など微塵も無く「???」と思えるものが多かった。
正直「ライカってダメじゃん」って思い出した頃、雑誌に載っていた作品を見た時、実に自分好みで味わいがある作品に驚いた。「これこれ、こういう『絵』を探していたんだよね」。かくして自分の生まれた年のライカ探しが始まった・・・。
ライカというと「100万円くらいするんでしょ?」とよく言われる。確かに新品でそれくらいのモデルもあるが、自分の買ったのは半世紀近くも前のモデル。当然ながら値段もこなれて、探せば10万円以下の出物も多い。完全な機械式だから電子部品の欠品も心配する必要も無く、これまで生き残ったという事はこれらかも生き残れる確率が高い。
「値段は安いですが逆にコレクションにするのではなく、がんがん使ってあげると喜びますよ」
店員さんの言葉は、購入に踏み切る切っ掛けにはナイスな台詞だった。35mmフィルムの基礎を作ったライカ社も時勢に合わせフィルムカメラからの撤退を宣言した。となると、ますます生きる屍で終わらせてはいけない。自分の生まれた年に作られたカメラだ。まだまだ隠居には早すぎる。
古いカメラを持つと、人を撮るのがぐんと楽になる。カメラを向けた瞬間「古そうなカメラですね(本当に写るんですか?)」と自然と笑顔を向けてくれる。相手の警戒心がカメラを見た瞬間に優しさに変わるのだ。出会いとコミュニュケーションのパスポートになってくれる。
こいつのおかげで旅に出るのが増々楽しくなった。購入から4ヶ月。まだまだ使いこなしてるとは言えないが、人様からダメだしされないように味のある絵を撮れるようガンガン使ってやろう。
あなたもちょっと古いカメラで旅をしませんか?
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8 Comments
初めまして。
ライカM3でググってたどり着きました。
とてもすてきな写真を撮られてますね。
当方はデジタルからカメラを始めてオリンパスばかり使っていますが、このたびひょんなところでM3を入手して、始めてみようかと思っているところです。
こちらで色々と勉強させてもらおうと思っていますのでよろしくお願いします。
>? さん
機能美というのは教わるモノでなく感じるモノですね。ライカM3を持つと上手い写真が撮れそうな気になる。それがそのプロダクツの完成された所以でしょうね。
デザイン的な面からいえば決して美人じゃない所が、また長く人気が続く理由なんじゃないでしょうか。
ライカM3は見ているだけでも美しい。男は丁寧に作られたメカには美しさを感じます。手触り、質感、重量感など、多分この世にライカというブランドを知らず、始めてみた人、先入観の無い人も、男なら魅力を感じる道具と思いますがどうでしょうか。
>yuki さん
ギターもやられてるのですね。
音楽ネタもアップしますのでお楽しみに!
興味深いコンテンツだらけですね。
私もハーレーとカメラが好きです。
デジタル一眼レフで練習し、いつかは
フィルムカメラの世界に入りたいです。
>kimiko さん
あら、どれくらいに想像していたんだろう?(笑)
>Vita さん
ミノックスM3は人に笑顔を導き出す魔力をもってますよね。
飲み屋に持っていくと大人気です(でも暗くてほとんど写らない)
これからも素敵な写真をアップしてくださいね。
初めまして!vitaと申します。
ミノクッスM3を購入しどこかM3を使ってBlogとか何か情報がないかなぁと
探しましたらこちらのサイトを知りました。
とっても興味深いBlogででちょくちょく見にきています。
NOBUさんのおっしゃるように古いカメラや遊び心のあるカメラって
人を撮りやすくなりますよね♪
M3を出すと皆笑いますw
今後ともヨロシクです。
おぉ~っと!NOBUさん登場♪
想像してるより若そうな気が・・・ むふふ。