トーマス・ギロビッチの『人間この信じやすきもの』を今ちょっと読んでる。コーネル大学のこの学者さん、大和証券のCMにも出てくるので聞いた事がある人も多いと思う。行動経済学の研究をしてる人。
人間は合理的に判断して効率的に行動する生き物と定義されてきた。しかし、実際は不合理な行動パターンが多い。そこから心理学と経済学を結びつけて、消費・投資・貯蓄になぜ不合理と思えるような行動をとるのか研究されている分野だ。
面白い事に、我々広告業界はこの行動心理学を元々積極的に活用(悪用?)して、消費者の購買意欲を煽ってきた。なにを今更と思う反面、売り手(広告側)からではなく買い手(消費者)から見た心理なので、なかなか面白い。ちょっと最近注目している心理学だ。
行動経済学という言葉を初めて聞いた人には意味が分からないと思うので、大和証券のCM内容をちょっと紹介しよう。
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店主とその従業員
店主が従業員に給料袋を渡しながら「この給料の2割を貯金しなさい」というと。
従業員は「そんな事は無理だ」と顔をしかめる。
今度は店主が「では給料の8割で生活してみなさい」というと
従業員は納得したように「やってみる」と応えた。
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つまり結果は同じなのに、考え方によって心理行動が変わる事をいっている。2割の貯金なんて出来ないという「思い込み」。8割で暮らすのは出来るのではないかという「なんとなくの雰囲気」。
広告では「198円」や「限定品」、「セレブ御用達」といったようなキーワードを使う事によって、購買神経を裏側から刺激する。人には惑わされない、という人でもバーゲンで思わず必要でないモノを買ってしまったり、自分の好きなカラーやデザインでないのに流行に流されて買ってしまったり・・・。広告とは行動経済学を逆手に取ってる訳だ。
この本は行動経済学ではなく認知心理学に重点を置いた内容になっている。消費行動に限らず人間の思い込みによる迷信・誤信。自分の行動と合わせて振り返ってみていくと結構面白い。思い込みが判断を誤らせてしまうということは、確かに多い。
かなり前の話だけど「アメリカ人は皆歌が上手い」と勝手に思い込んでいた。で友達のアメリカ人やその友人連中とカラオケに行ったら全員恐ろしいほどヘタクソだった。日頃洋楽ばかり聴いててアメリカ人は歌のうまいヤツなんて履いて捨てるほどいると思っていたら大間違いだった。ビートルズのイエスタデーなんて日本人の方が歌詞を知っていたし。さらにその連中、キャッチボールも出来ない。アメリカン人はみな野球をやってると思ったらルールさえ知らないヤツもいる。
アメリカに初めて行った時も、町中みな恐ろしいほどデブばかりで驚いた。尻なんてありえない大きさで・・・・。映画の影響でアメリカ人はみんなモデルのようなスタイルで、会社帰りにジムに行ってドレスアップしてディナーに行くもんだと思っていたら、朝から像の糞のようなパフェに貪り付いてる人種だった。こう書くとアメリカに行った事が無い人は「アメリカ人はデブばかり」と信じてしまうだろう(実際そうだけど)。
正確な判断と行動ってなんだろう。こういう心理学は考え出すと夜も寝れなくなるから本当は嫌いなんだけど(笑)
3 Comments
ええ、去年金融関係から転職してIR関連の仕事をしてます。
あれっ赤丹。さんのお仕事ってなんでしたっけ???
私なんか勘違いしていたかも。
おおっ、まさに大和証券は自分のクライアントです。
あのCMは、我々の手掛けているプロジェクトと、全く共通性がないんですけど・・・プランドイメージからしてバラバラで良いのかなぁ?
ちなみに自分の方は、CMではないです。投資家向けのオタクなコンテンツですが(爆)