ヤクルトおばさん

最近オフィスにヤクルトおばさんが来るようになった。自分より一回り以上は若いのでおばさんと呼んだら怒られそうだけど、「緑のおばさん」「ニッセイのおばさん」と同じく、どんなに若くてもついついヤクルトおばさんと呼んでしまう。最近はヤクルトレディーというらしいが、やっぱ「ヤクルトおばさん」の方がしっくりくる。
高血圧ではないけど今日はこれを飲んでみた。肝臓にもいいらしい。まともな食事がとれないので、菌の力を借りることにする。
たった一個の商品を買ってもらうために、わざわざ階段で4階まであがってくる。大変だと思う。ちゃりんこに一杯の商品を積んで走り回っている。仕事とはいえ偉いなぁって感心する。少しでも家計の足しにと働く女性の姿はとても輝いて見える。
水滴をフキンで拭いて「ありがとうございます」と手渡しされるヤクルトを見ていると、商売の基本ってここだよなって思う。自販機に肝臓にいい飲み物は？と訊ねても答えてはくれない。コンビニの店員が商品アドバイザーにはなれない。
昔は、肉屋に行けば揚げたてのコロッケを包んでもらい、魚屋に行けば活きのいい魚を選んでくれて、果物屋に行けば軽くたたきながら甘そうなものをセレクトしてくれる。そんな店ばかりだった。売り手と客に信頼関係のようなものがあった。店を練り歩かなければならない負担はあったが、果たしてそれは負担だったんだろうか。巨大スーパーの山積みされた食料品売り場を回っていても、人間の暖かみが全くない。なんか最近そういうことが気になるようになってきた。町の商店街が残っているところが羨ましい。
一生懸命働いているヤクルトおばさんのためにも、ちょっと続けて飲んであげようと思う。