近頃、代々木公園やイベント会場に行くとカメラを抱えた女性の多い事に驚く。それもちょっと古めのフィルム一眼やポラロイドカメラ。数年前から赤ちゃん連れのママがやたら大きいデジタル一眼レフを抱えてるのが目立ち出したけど、ここ最近ちょっと違ってきて、20〜30代の若い女性が金属カメラを持って一人で写真を撮ってる姿をよく見る。
最近のカメラ雑誌は女性向けにかなりシフトしてきているけど、それに加えて「古いカメラを再認識しよう」ってコンセプトの雑誌も増えてきた。『カメラ日和』などはその最右翼で、ピンぼけだって色被りだっていいじゃないかってスタンスがいい。ポラロイドの抜けた色合いや、ピンホールカメラの暖かい感じが女性に好まれているようだ(もちろん男性にも)。
カメラというと昔は体育会系的なイメージがあって、露出はこうあるべき、構図はこうあるべき、ポジションはこうあるべき等々・・・。女性が取っ付きにくいところでもあったと思う。特にメカ重視の会話には閉口する事だろう。それがデジカメになって、シャッターさえ押せば誰でもそれなりの写真が撮れる時代になると、そんな理論重視はどうでもいい話になって、誰でもプロカメラマン時代となった(もちろんそんなに甘く無いが)。
自分ももろ手を上げてデジタルに移行した。フィルムのランニングコストも掛からないし、撮った瞬間に確認できるなんてまるで神業だった。最初はヘボかったデジカメもどんどん進歩して、老舗と言われたカメラメーカーでさえフィルムからの完全撤退を宣言した。
仕事ではデジタル一眼レフを使っている。今後も使い続けるだろう。でも、デジカメがどんどん進化すればするほど興味が無くなってきている。優等生すぎるのだ。簡単にいうと電子レンジでチンしたみたいに、誰でも同じに作れちゃうところが鼻に付いてきた。たまにはお焦げがあっても、ちょっと煮込みすぎだっていいじゃないか、という気分になる。クルマのオートマと同じ。誰が乗ってもレーサー並みのシフトチェンジができる。が、自分の味や乗り方に合わないと、メーカーが用意してくれたプログラム・モードが実にウザったくなる。
アナログの機械のいいところはその操作過程にあると言う人もいるが、自分はそう思わない。別にフィルムを装填して巻き上げる動作に魅力を感じない。仕上がった絵が自分の好みの色や味わいに合っているかが重要なのだ。デジイチならお客さんの要求通りの絵が撮れるし、納品しても喜ばれる。でも、自分でプリントアウトして額に入れて飾ろうって思わなかった。撮った事で満足してそれで終わり。CD-RやDVDに焼き付けてお蔵入り・・・。
男性はこの「撮る」という過程で満足してる場合も多いと思う。自分で撮った写真をフォトフレームに入れて会社の机に飾ってる人なんて滅多にいない。たぶん本能からきているのだと思う。性欲と同じだ。やって終わりな男性(笑)。
でも、女性は違う。育てるという本能的欲求がある。それがカメラにもきている。自分の撮った写真をアルバムに貼ったりコメントを入れたり、ポストカードにして友達に送ったり、自分だけの写真集を作ったり。そういう行程にアナログカメラはぴったりだ。もちろんデジカメだってそれ以上の事はできるが、自分らしさを出すのって逆に難しい。ピントは綺麗に合い過ぎ、色だって鮮やかすぎるほど綺麗。でも、前の話のようにお焦げや濃すぎる味が欲しくなるのが人情だ。
難しいと言われたアナログカメラも、最近のデジカメの過剰機能からすると驚くほどシンプルで、いざ使ってみると「こんなに簡単なんだ」と言う女性が多い。現像と同時にCDに焼き付けてくれるサービスが低コストになったのも大きい。スキャナが無くてもフィルム写真がパソコンですぐに見れるのだ。女性からカメラの相談を受ける事も多くなった(といっても自分はあまりハード面の事は分からないんだけど)。60〜70年代のポケットカメラも魅力的だ。ハーフサイズのカメラも女性にはいいかもしれない(半分のサイズで撮るので24枚撮りのフィルムなら48枚写せる)。
デジカメは便利で簡単だ。否定もしないしフィルムが最高だなんて間抜けな事も言う気もない。新しいデジイチがでたらきっとまた買うだろう。でも、しつこいようだけど、電子レンジでチンするより、やっぱ火力の強いフライパンで料理した方が失敗も多いけどおいしいのだ。
ちょっと古いクラシックな一眼やレンジファインダーのカメラと、ポケットサイズのデジカメを抱えた、そんな二刀流の女性がこれからも増えて行くような気がする。雑誌のタイトルじゃないが
「いいカメラは人生を楽しくさせる」
最近ライカで撮りだして本当、そう思うようになった。自分の生まれた年に作られたカメラとレンズを持って旅に出る。とても素敵なことだと思わない?
5 Comments
>Shigeru さん
やっぱそうですか。確かに最近の女性カメラマンの台頭には驚かされますね。男性では絶対に撮らないような絵なのでハッとする事も多いです。
>SMOKY さん
マ〜ジですか!レバーはプリン体が心配なので・・・
近いうちぜひ連れて行ってください!
マジですよ!僕のところにおいておいても腐ってしまうだけなので。
あそこのハツ、塩こしょう系なんです。何と言ってもレバーが絶品!
こんにちは。
最近、高校の写真部は女子部員(の方)が多かったりしますし、蜷川実花さんの影響もあるのかな?と思います。
>SMOKY さん
えっ?! マジですか!
コメント入れたとたん、慌てて送信取り消ししようとして焦ってなかったですか? どこかに削除ボタンが無いか探してませんか? 下手なコメントを書いてしまたと胃が痛くなってませんか?
では、ブツの受け渡しは都電の例の場所で!
暗号名は『ハツ塩多め』で!
最近のカメラの色々な機能はいらないですね。僕の場合デジカメでも色温度固定で、レンズ前にフィルターを入れてフィルムと同じ様に使ってます。オートだと自分の勘が全然通用しないんですね。ちなみに冷蔵庫の中に35ミリのリバーサルが10本程眠っています。僕は使う用が無いのでよろしければ差し上げますよ!