グラハムと聞いて誰を思い浮かべるだろう? 時計好きならクロノグラフを発明した時計技師『ジョージ・グラハム』。クルマ好きならF1、インディー、ル・マンを制した名ドライバー『グラハム・ヒル』。ロック好きならレインボー、アルカトラスの『グラハム・ボネット』・・・・
どのグラハムもすぐに思い浮かぶが、忘れちゃならないのが『グラハム・カー』だ!
70年代テレビの料理番組[世界の料理ショー]で一躍有名になった料理研究家。日本では1974年頃から放映され、何度も再放送された人気番組。当時小学生だっただった自分はグラハム・カーの絶妙なトーク(もちろん吹き替えだけど)と、いかにもアメリカといった(実際はカナダの番組)大袈裟なキッチンにクラクラしながら見い入っていた。当時の日本の台所と言えば北向きで明かりも入らないような暗いイメージで、換気扇だって壁にむき出して付いているような時代。
ところが番組のなかでは総木目のセントラルキッチン。オーブンは2〜3段積み。なんと焼けた鍋は巨大な手袋で掴んじゃう。フードプロセッサーなんてこの番組で初めて見たし、塩をミルでゴシゴシやってるのも初めてだった。日本人で(家庭で)そんな文明の利器がある家なんて無かったし、今ではどこの家庭でも当たり前のことだけど、当時はとにかくアメリカ〜!って感じですべてが強烈だった。
同じ時期、日本では『土井勝の紀文おかずのクッキング』が放映されていたが(これも欠かさず見ていた)、こちらは純日本風。セットもなにもないような部屋で淡々と料理方法を語り、真っ白な割烹着でいかにも料理人という土井勝が静かに番組を進行させるという内容だった。
ところがグラハム・カーはジョークを飛ばしまくり、千切りがこぼれようが気にもせず、塩、コショー、バターをお構い無しに料理にぶち込み、ワインんだってドボドボ入れちゃう。ついでに自分でも飲んじゃう。ひどい時はお客さんまで呼んで飲んじゃう。最後は自分で試食して、とろけるような目線で「おいしい〜」と言う。こんな料理人は日本にいなかった。
なによりコックの姿ではなく、スーツ姿でエプロンも着けづに小麦粉だって舞い上がろうが気にせず、バッサバッサと料理して行く姿は、子供ながらにすごく格好良く見えた。料理もほとんど見た事無いようなメニューでカルチャーショックだった。鴨肉のなんとか風、とか言われても牛肉だって父親しか食えずクジラの肉を食っていた時代だ。そもそも鴨って食いもんだとは知らなかった。
夏になるとこの番組の事を思い出すんだよね。夏休みに再放送が多かったからかなぁ。自分の料理の仕方は、間違いなく土井勝ではなくグラハム・カーから影響を受けてる。材料も調味料も目分量。大雑把だけど、最後の締めの究極の自己満足は忘れない。溶かしバターは苦手だけど、ワインと塩コショーをたっぷり入れて俺流の料理でも作るか。なぁスティーブ。
グラハム・カーを知らない人はこれを見るべし!→『世界の料理ショー』
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4 Comments
>BIGSTONE さん
私は食べる方より作る方にいっちゃいました。
この番組があと数年ながくやっていたら料理人になっていたかもしれません(笑)
>nesta さん
お褒め頂き、嬉しいですね〜。
こちらこそありがとうございます。
機会があれば撮られた写真も見せてくださいね。
>Aiai さん
ははは。
スティーブ!たまねぎ切っとけって言っただろ〜!
はじめまして。
いつも楽しく拝見しております。
NOBUさんのセンスの良さが光る写真や文章を読んで、かなり刺激を受けております。
おかげでデジカメを購入して撮影する楽しさを知りました。
ありがとうございます。
今回の「世界の料理ショー」話。
僕も小学生の時大好きでした。
僕がその時に思っていたことが、上手にコメントしているので、ふむふむと頷きながら読みました。
DVD化されているんですかね。また観たいですね。
これからも遊びに来たいと思います。
虫刺され、快方に向かうと良いですね。
ちなみに僕もギター好きのNOBUです。
ではでは。
ご無沙汰しております。
最初の2行を読んで、漠然と「グラハム・カー」を思い出したのですが
4行目に「グラハム・カー」の文字を確認してびっくりしました。(笑)
私も「世界の料理ショー」を見てました。面白かったですが、
自分で料理を作るまでには至りませんでしたね。食べ歩きは
好きですけど・・・。(笑)
カナダ製の番組だったのですよね。私も今年の春ごろまで
アメリカの番組だと思ってました。偶然ウィキペディアで
知ったのでした。