すっかり前の記事から時間が空いてしまったが『谷中散策 完結編』をおくろう。
山岡鉄舟を知らないカップルにビックリしながら、さらに上野方面に歩いて行く。その間寺だらけ。一日中墓石ばかり見てるのもどうかと思うが、もうここまで来たら半分ヤケで。さらに片っ端から覗いていく。
しばらく行くと谷中霊園に。案内板を見ると徳川慶喜の墓があるらしい。山岡鉄舟とくれば、15代将軍徳川慶喜も欠かしてはならない。早速参拝に行く。
当然ながら葵の紋どころである。柵があって中まで見に行くことが出来ないが、墓石に刻まれた『徳川慶喜之墓』というのが『喜』という文字だけが抉りとられるように破損していたのが気になった。意図的に壊されたのであろうか。
さすがに墓石ばかり見ていて疲れたので、上野の山を目指す。美術館巡りでもしてみよう。噴水がある広場に来るのなんて何年振りだろう。いや何十年振り。子供の頃はよくオヤジと美術館に行ったことを思い出す。オヤジは美術なんて全く興味のない人間だったが、俺のためにと上野にはよく連れて来てくれた。今こうしてデザインの仕事で生計をたてられているのも、子供の頃の美術館巡りが大きく影響してると思う。オヤジには感謝である。
ざっと見たけど面白そうな展示がなかったので、とりあえずプラプラ美術館ウオッチング。そういえば西洋美術館のエントランスにロダンの像があったとこを思い出し観に行く。
あれ?昔、青銅色じゃなかったっけ??? こんな真っ黒だったかな?・・・・・。考える人の前でかなり考えるが、はっきり思い出せなかった。
疲れたのでビールでも飲もうと、上野駅に行ったらビックリ。いつのまにこんな奇麗に?!俺の知ってる上野は薄暗く小便臭く浮浪者がゴロゴロ寝てる駅だったはずだ(かなり昔だけど)。アトレなんて今どきなショッピングモールに変貌を遂げ、壁が白い!
昔あった昼間っからやってる立ち呑み屋はどこにもないではないか!
どうやら昨年の2月に改装されたらしい。上野には何度も来てるけどいつもクルマだったし、考えてみたら改札口に来るのは・・・・20年以上振り?そりゃ変わっていて当然だけど、猪熊弦一郎の壁画は子供の頃と一緒だ。懐かしいけど今の駅の雰囲気とまったくマッチングしてない所が上野らしくてよろしい。
学生時代、たくさんの疲れ果てた出稼ぎの人混みをかき分けて、青森行きの夜行列車に乗って旅行に行ったなぁ。この改札を一度出て立ち食いそばを食べながら「上野発の夜行列車」という響きに、こりゃ演歌だとひとり酔いしれながらセンチになったことを思い出す。あの頃の薄暗いドヤ街のような上野が好きだった。
上野の変貌振りにショックを覚えながらアメ横に。でも、あまりの人混みに具合が悪くなり早々に退散。気がつけば、フィルム交換の時にベンチに座った程度で、休憩もなく5時間くらいずっと歩き回っていた。我ながらほんと歩くのが好きである。
山手線の東側ってめったに行かないのだけど、古い街並が残っていてのんびり散策するにはとても楽しかった。今度は夜の錦糸町とか行ってみようかな。
(おわり)
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