あの世に持っていきたい10ベスト-その(2)はKISSの『DESTROYER(邦題:地獄の軍団)』1976年。
前出のオリビア・ニュートン-ジョン『Come On Over(邦題:水の中の妖精)』ですっかり洋楽に目覚め、さらにレコード屋に行く頻度が増えた中学2年のガキんちょはロックというパンドラの箱を開けてしまう。
いつものように洋楽に詳しい友達とレコード屋に行って物色してると、突然目に入ってきたこのジャケット。仮面ライダー1号をリアルタイムで通過してきた世代にとって、指が止まるのは当然のような悪役満載のキャラクター。友達に訊いてもよくわからないという。う=ん、なんだか分からないけど『買い!』と直感的に閃き購入。
予備知識が全く無く聴いた『DESTROYER』の一曲目は、なにやらラジオ番組がニュースを伝えるSEから入り、あれ?もしかしてこれって何かのサントラ盤?と一瞬不安になった瞬間、あの「Detroit Rock City」のデレデレデレ♪というイントロ。強力なディストーションサウンドにシャウトするボーカル、ツインリードのソロ、激しいドラミング。今まで聴いたことの無いサウンドに圧倒されながら呆然としていると、クルマが大破する炸裂音のSEに続き「King Of The Night Time World」、そしてまるでショッカーの地獄大使が出てきそうな「God Of Thunder」と間髪無く続き、一変、オーケストレーションが入ったバラード「Great Expectations」・・・・・
音楽にノックアウトされたというのは後にも先にもこのアルバムが最初で最後のような気がする。大袈裟に言えばこのアルバムで人生が変わったと思う。このアルバムでロックに目覚め、ギターを始め、音楽に没頭した。
1976年。当然ながらインターネットも無く洋楽の情報元といえばミュージックライフとrockin’onくらいしかなく、古本屋に行って買いあさり一気にロック漬け。
同時に日本でもロック一大旋風がわき起こり、エアロスミス、クイーン、キッスがロック新御三家と音楽雑誌以外でも特集を組むようになり、学校でもエアロスミス党、クイーン党、キッス党と別れて熱く罵倒(笑)の掛け合いをしたりして、『きんざNOW!』で紹介されるプロモーションビデオを見るために、速攻で家に帰っていた頃が懐かしい。
翌1997年には初来日。当然徹夜で列んでチケット買ったよ。外タレを見るのもKISSが初めてだったし、日本武道館に入るのも初めてだった。なぜだか指定席にもかかわらず6時くらいからの開演だったのに、3時くらいからみんな列んでて、リハーサルの音が洩れて来ると北の丸公園はさながら野外フェスのような大歓声がわき起こり大興奮状態。
ライブが始まると(前座はBOW WOWだった)火柱は上がるは(でも消防法の規制でアメリカの1/10)、爆発音は轟は、火を噴くは、ギターは燃えるはで、あまりにも初めての体験で脳が付いていかず放心状態。自分だけでなく武道館にいる客全てがそんな状態だった。
失神者もでたジーンの血吐き。トマトジュースで真似したガキんちょは間違いなく5千人はいたはず。
この頃のACEのギターの音は本当に好きだった。レスポール党になったのもACEの影響だし、最初に買ったレスポールもACEと同じタバコサンバーストだった。好きなギタリストを3人選べと言われればジミーペイジ、ランディーローズ、そしてこのエースフレーリーなのだ。
翌月にはNHKのヤングミュージックショーでその時のライブの模様がオンエアーされ、テレビの前にラジカセ置いて生録しましたよ。きっと1千万人のKISS好きが同じことをしたはず。当時インコを飼っていて、ちょうどいい時にピーチクパーチク鳴き出して涙が出そうになった・・・
と。KISSのことを語りだしたら切りがないのでここいらで。
あの世に持っていきたい10ベストとして選んでいるけど、もし1枚だけしか持っていけないとしたら間違いなくこのアルバム。3,976枚のアルバムの中でベスト1はこのアルバムなのだ。
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