実家から引き揚げてきたウインチェスターM70・・・ではなくモーゼル98。もちろん本物じゃないけど、ライフルを掃除していたら気分は一気に大藪春彦ワールド。無性に読みたい。
実家の引っ越しに合わせて、学生時代に読みまくった大藪の蔵書も一気に処分してきた。300冊近かったと思う。何年、いや何十年も読み返すことがなかった本なのに、いざ捨ててみると今更ながら再び無性に読みたくなる。断腸の思いで捨てたのに、後悔の念に心が揺らぐ。
きっと捨てなかったら読みたいという気持ちも起こらず、相変わらず本棚をデコレーションするだけの存在にかわりはなかっただろうけど。。。
買い直すにはあまりにも屈辱的なので、映画でも観ようかな。
『野獣死すべし』は松田優作主演の1980年版角川映画が有名だが、あの作品はいただけない。原作とあまりにも乖離しているし、なにより伊達邦彦の描写がセンチすぎて嫌悪すら感じる。映画自体は悪いとは思わないが、『野獣死すべし』のタイトルは付けて欲しくなかった。事実、原作者の大藪春彦も後のインタビューで不快感を示していた。
やはり『野獣死すべし』のベストは仲代達矢主演の1959年映画化第一作目。初めてこの映画を見たのは高二か高三の頃。リバイバルの邦画を上映している池袋の映画館だった。原作を忠実に、というか原作がそのまま脚本と言ってもいいほど、細かいディテールに興奮を抑えきれない。仲代達矢(当時27歳)も、後の黒沢作品での好演とは明らかに異なり、苛立ちと狂気に満ちた若き伊達邦彦がまるで乗り移ったように演じていた。
幾度となく観ているのに、また無性に観たくなった。やり場のない苛立ちがグツグツしてるからに違いない。
「青春は屍をこえて」
80年版のキャッチコピー。映画はクソだったけど、コピーは逸品だった。
やはり大藪春彦の処女作『野獣死すべし』だけは買い直すか・・・・。
Leave a reply