さて、ではebayで14ドルで購入したアーガスC-44の紹介をしよう。140ドルじゃないよ、14ドル・・・日本円で約1,200円。使い捨てカメラより安い・・・。悲しいほど嬉しい金額で購入したが、あまりにも不憫なので、ここでバシッと紹介する。で、もしかしてアーガスファンが増えたらこやつも本望であろう。
さてこのC-44、あちこちのHPでC3の後継と書かれていたり、2年の短命で終わったモデルとか書かれているが大きな間違いである。誰がいったいそんな間違いを広めたんだ?
まず『C-3』はオリジナルを1938年発売の『C』から誕生し『C-2』『C-3』と進化し、最後は1959年に発売された『C-33』で1961年に余命をまっとうする。対してこのC-44はオリジナルを1947年発売の『21(マークファインダー)』から始まり1951年『C-4』そして1958年に『C-4R』に進化。『C-44』は1956年に『C-4』の派生バージョンとして誕生し1958年に『C-44R』と進化し1962年に全うした。
つまり『C-3』の後継モデルは『C-33』であり、『C-44』の元モデルは『C-4』もしくは『21』。そもそも『C-3』と『C-44』はカテゴリーが違うので後継と呼ぶのは明らかに間違いだ。クルマで言えばBMWの5シリーズと7シリーズの違いみたいなもん。『C』という頭文字でカテゴライズするのではなく、語尾の数字でモデルを追うのが正しい。
で、購入したのは1956年製『C-44』アーガス製50mmF2.8レンズ付き。ちなみに『C-44』を『C-4』の後継と書いている人もいるがそれも間違い。56-57年は共に併売され、1958年に共に『R』に進化しているので、後継ではなくあくまで派生モデルと見るのが正しい。クルマで例えれば普通の5とM5みたいな関係。
ビックリするくらいキレイだった。スレも凹みもまったくなく、とても55年も前のカメラとは思えない綺麗さ。革もまったくスレも無く前オーナーはずっと仕舞いっぱなしだったんじゃなかろうか?
このフェイス何かに似ている・・・なんだろう・・・・犬っぽい・・・・う〜ん・・・・・そうだ!
『ブルテリア!』
こいつ、ブス可愛いフェイスでお気に入りだ。
レンズのデザインが凄い。同じ時期、機能美を追求していたドイツレンズと全く違い派手。それも不必要に派手。まるでエンジンのシリンダーか拳銃のリビルバーの弾倉のようなマッチョな造型。ピカピカしたメッキ感も実にアメリカ人好み。
50年代といえば『ミッドセンチュリー』なデザインが凱旋、イームズ、エーロ・サーリネン、ジョージ・ネルソン、ハリー・ベルトイアといったアメリカの作家が世界を席巻し、飛行機の羽を生やしたピンク色やオレンジ色のクルマが走っていた時代。当然、アメリカン・カメラにおいてもなんらかの影響を受けていたであろうことが、このC-44を見ていると分かる。
このレンズの造型を見ているとどうしてもリボルバーの弾倉に見えてならない。特にネーミングだ。『フォーティーフォー』とくれば『マグナム』と連想する人も多いだろう。この『C-44』が誕生した同じ年、S&Wから世界最強の銃としてM29(44マグナム)が登場したのは単なる偶然だろうか。
本革のケースも多少の使用感はあるが、傷も汚れもない。こしゃくに露出計(不動)にもケースが付いて来た。なんでも化学繊維、ビニールの最近の国産カメラと比べると、アメリカが一番元気だった頃のカメラだということがよくわかる。アメリカ人の太っちょで馬鹿でかい体型に合わせて作っているので、各パーツがデカい。でも落としても絶対壊れないと思えるほど頑丈に出来ている。
なんだか理由は見つからないが、とても魅力的なモデルなのである。なぜこれが人気が無いのか?不思議で仕方ない。シュワちゃんやスタローンが持っていると似合いそうなこの『アーガスC-44』。クルマと同じでカメラもドイツ至上主義が蔓延してるけど、最近のミリターチックなファッションにもよく似合うこのデザインは『有り』だと思う。
そして当然ながら画質も魅力的だ。ドイツカメラがかもし出すシャープさはないが、ポニーテールで踊ってるような軽快感が楽しい。
キラキラしていた頃のアメリカで生まれたこのカメラ、とても魅力的だと思わない?
2 Comments
>emiko223 さん
カメラ始めちゃってください。
そして、お子さんの写真、ばっちり撮ってあげて下さい。
将来喜びますよ〜!
NOBUさんや他の方々のブログ見てるとカメラ始めちゃおうかしら?!とか思っちゃう~
でもここまでうまく撮れるようになるまでいったい何年かかるんだろうか(汗)いや、何十年?!