オーディオ環境が整ったおかげで、今まで聴いていたアルバムも高音質で再生できるため、聞き慣れた曲も新たな発見があって新鮮。Voの影にこんな息づかいが隠されていたのかとか、スリリングなギターソロのフレット移動の微妙なミュアンスまで見えてきたり、こんな事ならもっと早くにHiFi化に着手しておけばよかったと逆に後悔。
で、ふと自分にとってのベスト10盤ってなんだろうと考えた。題して『あの世にもって行きたい10ベスト』
こういった話は年末向きかもしれないけど、とりあえず勝手に頭の中でそのモードになってしまったのでiTunesを確認すると45,456曲、1,722アーティスト、3,974枚のアルバムが登録されている。う〜む、約10/4000か・・・。これって意外と難しい。案外10曲を選ぶ方が楽かも。
アルバムはトータルの意味合いが強くなるので、いくら好きな曲が入っていてもアルバムとしてはダメな場合もある。散々楽しく悩みながら、色々な想い出も含めてセレクトしてみよう。
ということで先ず1枚目はこれだ!(あくまで10枚は同列であって紹介する順に序列はない)
オリビア・ニュートン-ジョン『Come On Over(邦題:水の中の妖精)』1976年
なんでオリビアなの?!という突っ込みはなしにして、実はこのアルバム(正確にはカセットテープ)人生で初めて買った記念すべき外人ミュージシャン。いわゆるジャケ買い。当時中学2年生。洋楽に目覚めだし毎日のようにレコード屋に行っては、物知り顔の友達に色々なミュージシャンのレクチャーを受けていた。今のように視聴盤も無いしFM放送だってまだ無い時代(ちなみにFM東京の開局は1980年)。友達の『語り』だけが唯一の情報源だった。
そんななかレコード屋のカラス全面に貼られた謎の美女のポスター。水面から顔だけ出しこちらを凝視するその視線に中坊の心はノックアウト。お年玉をつぎ込み清水の舞台から飛び降りる気持ちでカセットテープを購入。実はまだオーディオを持ってなくてラジカセしかなかったので・・・。
ドリフターズの歌のコーナーくらいしか知らなかったガキんちょには、オリビア・ニュートン-ジョンの圧倒的な歌唱力と音域の広さにとにかく驚いた。特に1曲目の「ジョリーン」は狂ったように聴きまくった。ほんと狂っちゃったかと家族に思われたかもしれない。当時のカセットだから頭出しもできないので、再生しては巻き戻しの繰り返しでベロベロに伸びるぐらいきいた。
ラジオで音楽評論家が「左目の目蓋だけが少し下がっているところにエロチシズムを感じる」と解説していたのが印象的だった。水の中から妖艶な眼差しで「Come On Over」と言われればハイサイおじさんになっちゃうのである。ちなみに喜納昌吉とオリビアは同じ歳。
Olivia Newton-John – Jolene(1976)
聖子ちゃんカットはファラフォーセットからインスパイヤーされたと言ってるけど、明らかにこの頃のオリビアの髪型のパクリだと思う。ただ、松田聖子がデビューした頃には、オリビアはすっかり変わってしまい梅さんハチマキでレオタード姿で歌ってたけど・・・
Dolly Parton – Jolene(1974)
「ジョリーン」は日本ではオリビアのイメージが強いけどオリジナルはドリー・パートン(Dolly Parton)の1974年の作品。高音域のオリビアもステキだけど、ドリーの歌声も当然ながら歌詞に合ってていいね。
キャンディーズ(1977)
日本ではキャンディーズもカバー。でも歌詞がかなり字余りって感じがするのだけど・・。聴いててなぜかこちらが恥ずかしくなるカバーでございました。
でもその後オリビア・ニュートン-ジョンはほとんど聴かなくなってしまった。「イルカを殺す国には行かない」と来日を拒否した事件で幻想はすっかり崩れ、前記のフィジカルのレオタード姿のイメチェンに愕然とし、グリースでもう遠い人になってしまった・・。
平成世代だとオリビア・ニュートン-ジョンのことを知らない人も多いかもしれないけど、70~80年代の女性Voでは圧倒的な存在だった。結婚、乳ガン手術等で引退していたけど、90年代後半から復帰。2010年には来日公演も果たし、御歳63歳いまだご活躍中。
1976年。グラマーなアグネス・ラムかスレンダーなオリビア・ニュートン-ジョンか。思春期の中二の少年は悶々としながら心トキメかしていたのでした。
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